2011年2月1日火曜日

風呂の制作について

風呂について
過去の影絵の授業で作られた風呂(幻燈機)の設計図をもとに、打楽器奏者のBOBさんの協力を得て、2010年度の新たな風呂を制作しました。レンズは100円均一のお店で虫眼鏡用のレンズを購入し、分解して使用する事にしました。大小2枚のレンズをそれぞれ、映写用レンズと集光用(コンデンサー)レンズとして風呂に使用しています。また、風呂に使用する電球は過去の経験をふまえ100Wの家庭用電球を使用しました。

2010年度の風呂の改良点として
種板を制作し、風呂を使って映し絵を投影していくなかで、風呂に様々な改良を加えていきました。風呂で映し絵を投影した画像のまわりに、風呂の内面反射が原因とみられる光のにじみが表れました。光のにじみを無くし、画像を明確に投影する為、風呂の内部を黒くラッカーで塗装し改良しました。次に、風呂の光源に使用している100Wの家庭用電球で種板を投影していた所、発熱の為に種板を破損する事がありました。また100Wの家庭用電球では、スクリーンに投影された画像がやや暗く感じられました。そこで家庭用電球の発熱の問題と、画像な明るさを確保する為、新たに60Wのレフ型、家庭用電球を使用する事にしました。また使い方の問題として、影絵公演の際に風呂を手で持って投影するだけではなく、固定された背景などの描写を表現する為に、カメラの撮影用三脚に木製の台座を取り付けて風呂を固定し、種板を投影しました。

最後に
今後の風呂の制作上の課題として、集光用(コンデンサー)レンズの性能に疑問が出てきました。集光用レンズを使用する事によって、種板部への防熱効果は期待出来ますが、集光用レンズが映し絵をさらに明るく映し出す効果があるのか?疑問を持ちます。今後、集光用レンズの種類と役割を研究していく必要があると考えています。

風呂の構造(2009影絵の冊子8ページ参照)
日本の木製幻燈機は形が昔の風呂に似ていることから「風呂」と呼ばれるようになったといわれます。2010年度の風呂は使用する木材に、伝統的な桐を使っています。風呂は光源を仕込む本体と映写用のレンズ部分に大きく分けられます。昔は本体上部の、光源となる炎が当たる位置(燈油・石油ランプの場合はガラス筒の出る位置)に穴が開けられており、白熱電球を使用する場合は、通風口を残して蓋をしました。今回は遮光性を高める為、本体上部の穴開けを省いています。本体正面の前板(光源と逆側)を集光用レンズの直径に合わせて丸く切り欠き、集光用レンズをはめた板を上部のスリットから挿入します。レンズ部分は映写用のレンズをはめた箱の筒を二重にして、本体の前板に取り付け、内側のレンズ部を手で繰り出してピント調整を行います。また、風呂を手持ちで使える様に、本体下部に吊り紐を通せる様な取手を取り付けました。映写用レンズの上部には布製の黒幕シャッターをつけ、映さないときにはこのシャッターを垂らしておきます。仕掛けは、通常ガラスなどに彩色された絵を「種」といい、この「種」を長方形の板に並べて固定したものを「種板」と言います。今回はガラスが割れてしまう危険性を考えて、主にプラスチック板や木材を種板に使用しています。この種板を風呂本体側面の差込口から集光用レンズの前に挿入し、光源の光を集めて当て、映写用レンズで投影します。

映写の仕方(2009影絵の冊子9ページ参照)
映し絵の映写は横に長いシルクのスクリーン(4×1.8m)の裏側から行います。このスクリーンは2009年度に、八王子織物工業組合で紹介を受けた織物工場、岡村織物に作成を依頼し完成した八王子産シルクのスクリーンです。このスクリーンを撮影用スタジオ等で使用されるライトスタンド(品名:センチュリースタンド)にクリップで固定します。また中川船番所の公演では、薄い紗で作られた半透明のスクリーンを二枚縦に重ねて並べ、補助スクリーンとして映写に深みのある表現を目指しました。映し絵で映写された映像は、スクリーンの裏側からの投影である事と、また映像を大きく映そうとスクリーンから距離を必要とする為に、薄ぼんやりと映って見えます。そのため会場にある非常口の案内表示灯ですら公演に影響が出る程です。公演の最中は(許可が下りれば)非常口の案内表示灯も明かりを消します。映し絵の公演は数台の風呂を、2010年度はミュージシャンのシューヘイさんの演奏に合わせて操作し、スクリーンの画面上で物語を作り上げます。メンバー各々が風呂の位置を変えながら映像に動きを与えて、映画と同じような技法(ズーミング、オーバーラップ、フェードイン、フェードアウト等)を手作業で行い、また種板に仕込んだ仕掛けによって様々な映像表現を目指しました。通常、種板や風呂の交換は明かりをつけたまま、風呂の映写用レンズ上部にある布製の黒幕シャッターを降ろして行いますが、2010年度は風呂の光源部の発熱による種板の破損を防ぐ為に、風呂の光源部に電源のスイッチを付けて、on/offする事により行っています。

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